逆上がり指導のポイント(運動学習の観点から)

学校体育の大きなハードルの一つとして「逆上がり」が挙げられます。

お子さま自身にとって、逆上がりの習得は大きな自信となり、自己肯定感の向上に繋がりますよね。一方で、習得が遅れると体育の鉄棒に対して意欲が低下してしまうケースもみられます。

さて、今回はこの「逆上がりを指導するポイント」について、運動学習の観点から考えていこうと思います。

運動学習とは

①教師あり学習(誤差学習)=発達や学習の初期段階に働く

 失敗から学ぶ(予測と結果の誤差修正)→スキル習得

②強化学習=学習の第2形態

 成功体験→報酬による中脳ドーパミン作動系に基づく学習

③教師なし学習=学習の最終形態

 教師あり学習と強化学習の組み合わせ戦略

→脳の中で、上記過程に基づいて運動スキルを習得する。

逆上がりに例えてみる

①教師あり学習の過程

逆上がりを行う前のこどもの思考

鉄棒をつかんで、足を上に振り上げよう。

 このような運動イメージ(予測)が頭の中に浮かびます。

 「実際は、足の振り上げが不十分で逆上がりができなかった。」

→ここで、予測と結果の誤差が生まれます。

次はもう少し肘を曲げてみよう。足の振り上げをつよくしよう。

→教師信号となって、次の運動を修正します(同時に失敗した運動指令を抑制)

繰り返していくと、徐々に運動イメージに近づいていき、逆上がりが成功すると抑制せずに運動を学習します。

一度学習された運動は予測的に運動ができるようになるため、予測的運動制御機構とも呼ばれます。

たとえば、自転車は一度出来るようになったら、何度でもできますよね。逆上がりも同じです。

教師あり学習の神経基盤

[前頭・頭頂ネットワーク]

視覚・体性感覚・聴覚などの感覚情報を統合→運動前野→運動の計画→一次運動野→運動出力→感覚フィードバック※同時に予測情報を頭頂葉に送信→誤差があれば教師信号を運動前野に送信→運動指令の修正

[大脳・小脳連関]

予測された感覚フィードバックとエラー情報を比較照合→失敗した運動指令抑圧→成功した運動指令を残していく

②強化学習

さっきより足があがってきたぞ。できそうだ。

内的報酬:できそう!たのしい!

外的報酬:できたら褒められる!

→中脳ドーパミン放出→意欲アップ・行動強化

③教師なし学習

逆上がりを習得し、創造的な学習に発展する。

逆上がりの指導方法

逆上がりを習得するにあたって、頭の中でいろいろな神経機構が働いていることがわかりますね。

運動学習のメカニズムを踏まえて、下記のように段階づけて練習する方法がおすすめです。

・教師あり学習

指導者が見本を見せる→補助しながら、肘を曲げて足を振り上げる感覚を学習させる→台などを使って少しずつ補助を少なくする→動画で撮影して客観的に動きがみえるようにする

わかりやすく運動イメージ(予測)を伝えていくことがポイント!

・強化学習

スモールステップができるよう難易度設定を行い、都度しっかりと褒める

おわりに

今回は、逆上がりの指導について、運動学習の観点から深堀りしてみました。

ジムパークでは、体操教室(自費サービス)と児童発達支援を運営しております。児童発達支援については、こちらをご覧ください。

児童発達支援(公費療育)のご案内

理学療法士が運営しております。
専門的な視点でサービスを提供いたします。

すべてのお子さまに発達検査を実施し、根拠のある療育を実施いたします。

運動療育により、発達の土台を育てます。思いっきり体を動かせる環境です。

集団・個別療育をご選択いただけます。

駐車場完備で安心して通えます。

コメント

コメントする

目次